2本の柱

主にホラー映画についてと、日常の呟き♪について

映画「終わらない週末」のここが怖い※ネタバレ有り気をつけろ!

自分の中で何かと話題になっていた「終わらない週末」(leave the world behind)を見ました。2時間弱の長い映画ですが、作りの良さから没入できるので全然苦じゃないですよ。

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ネタバレ防止戦線でした。

 

本題です。

終わらない週末のここが怖いポイントは、「戦争ってこうやって始まるんだ…」です。

物語序盤からとりあえず不吉フラグがばんばん立ちまくっていることは理解できるのですが、でも映画の中の人も、そして私たち外の人も、誰1人具体的に何が起こっているのか全く掴めません。わかるのはただ「良くないこと」が確実に、着実に起こっているということだけ。

そして気づいたら都市は爆撃されています。

ここで初めて思考の靄が晴れて、意識的に、自分が戦争のど真ん中にいることを突きつけられるわけです。この瞬間、死の近さ、侵略への恐怖、元の生活へは2度と戻れない絶望を本能的に理解してしまいます。これは怖い。

現代の戦争はサイバーなんです。情報に依存しきった私たちは、それを奪われるだけで簡単に崩壊してしまいます。人間はそんな出来た生物ではないから。そしてこの崩壊は明日起こってもおかしくないくらい現実味を帯びています。そして気づいたら戦争の中に。。。なんてことも100%ありえない話ではないことを覚えておく必要があります。

 

あともう一点、個人的に感じた怖いとこがあります。それは「人類が見ないようにしている危機に気付かされる」ところです。

私たち人類はインターネットに頼りきっています。この映画からも分かるように、依存することがどれだけ危険なのか潜在的には理解しているはずなんです。

でも見ないふりをします。なぜなら気づいてしまったら変えなきゃいけないからです。今の便利な生活、自己の満足心、自分の財産をリスクに晒して生きなければならなくなるからです。

でもそんな度胸なんてありません。

だから私たちはこうやってインターネットに依存し続けるし温暖化の陰でエアコンを使い続けます。ウクライナイスラエルの戦争を知っているのに何も起こってないようなふりして普段通りの生活を送り続けます。

悪いことへの綱渡りであることに絶対気づいているのに。

作中、ローズ(娘)が話した神様の話と同じ。救いに気づくチャンスはいくらでもあったのに気づかないふりをしたのは私たち。助からなかったらそれは私たちの責任。このままだと世界は終わるんだよと警鐘を鳴らされているように感じました。

こんな責任を突きつけられる怖さ。果てしない。

 

でもわかるんですよ。気づいていても何もできない無力さもあると。正直、今の世界は複雑すぎて国民ひとりが何を思って行動しても何も変わらないし、ましてや国の権力者ですらもうかつには動けないことも理解してはいるんです。でもこのまま何もしなかったら世界は終わるんだと思います。ああかなしい。